人気お笑いコンビ「和牛」のお二人の初のエッセイ本です。
2018年から2020年にかけて雑誌『ダヴィンチ』に連載されていたエッセイに書き下ろしエッセイと劇場で撮影された写真が追加されています。
そのためダヴィンチで連載を読んだことがある人も、写真や書き下ろしで楽しむことが出来るようになっている一冊。
著者
和牛:ボケ担当の水田信二さんとツッコミ担当の川西賢志郎さん
2006年にコンビを結成。
M-1グランプリでは2016年、2017年、2018年と三年連続で準優勝となっている人気実力を兼ね備えたお笑いコンビです。
ネタではコント風のものを演じていることが多く、お二人とも滑舌がいいため、聞き取りやすいのが特徴。
お勧めポイント
和牛の魅力が詰まっている
外見的には水田さんがおっとり、川西さんがスタイリッシュな印象を受けます。
しかしネタをご覧になっている方ならご存じの通り、水田さんはその「神経質さ」からくるボケで、対する川西さんが飄々と突っ込むスタイル。
本書の文章からもその二人の特徴がよくわかるものになっています。
特に水田さんの「でるわ~。心意気。」という話は、水田さんの細かさを物語っています。
言ってることは正論だしわかるけど、飲食店(居酒屋)のお通し(つきだし)にそこまでこだわる?っていう内容。
川西さんの「玉出」は、隣人と思しきおっちゃんとの出会いについて。
最初は思いっきり怪しんでたのに、おっちゃんのことを「かわいい」と評し始める川西さんの人の好さが伝わる話です。
和牛ファン以外にも和牛の良さが伝わる
和牛といえばいわゆる凸凹コンビというほどのものもなく、街で見かけてももしかすると普通には気づかないかもしれません。
でも二人のネタは完成度が高く、私も大好きなコンビです。
あのネタを作ってる人、演じている人の頭の中や日常はどうなっているんだろう?そんなことがちょっとわかる内容が詰まっています。
水田さんの「今回は喫茶店で書いています」は、言いたいことわかるわ!というのと同時に繊細な性格が垣間見えます。
川西さんの「公演中はマナーを守って楽しみましょう」もいい話です。
特に川西さんを通して描かれた水田さんの本番中のふるまいが素晴らしい!
一つのテーマがちょうどいい長さで読みやすい
元が雑誌の連載をまとめたものということもあり、1つ1つのテーマがちょうどいい長さで展開されています。
決まった長さの文章に対して起承転結、事実と心情のバランスが極端ではないところもさすが。
水田さんの「後ろ姿って描くの難しい」は香川県のこんぴらさんの話から始まり、オチまでの流れが一つのネタを見ているような気持ちになります。
川西さんの「”愛してる”の響きだけで」は中学でやっていたラグビー部での話。
スピード感のあるオチまでの盛り上げ方とまさかのオチが秀逸です!
まとめ
二頭の牛がこちらをじっと見つめるイラストの表紙が特徴的な本書。
文章中にも
本人達も、おそらく近くで見てきた芸人さん達もみんな和牛というコンビはゆっくりと一歩ずつ階段を上っているという印象を抱いているんではないでしょうか。
『和牛の一歩ずつ、一歩ずつ。』本文より
と書かれている通り、その歩みは決して早くはないかもしれないけれど、着実に前に進んでいるコンビです。
着実に一歩ずつだからこその魅力とでもいいましょうか、安心出来る笑いを与えてくれているようにも感じられます。
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