アナウンサーの方が言葉や話し方のことを書いている本はこれまでも目にすることがありました。
本書はそれだけにとどまらず「言葉を伝える責任」「言葉で心を整理する」ことに踏み込んでいる印象を受けました。
本書は言葉を扱う仕事をする人だけでなく、言葉を使って自分の考えや心を見つめなおすにもぴったりの一冊です。
この本を手にとったきっかけ
著者ご本人がテレビ番組で本書を宣伝していたのがきっかけでした。
2021年8月17日の日テレ系『スッキリ』にて著者がアナウンサー10000日目を迎えたことと、その入社27年間の習慣などをまとめていると紹介していました。
著者の同期には現在フリーアナウンサーの羽鳥慎一さんがいます。
本書の最後にも少しだけ触れられていますが、どちらかというと羽鳥さんの方が目立っており、藤井さんは地味な印象がありました。(個人の感想です)
その藤井さんが27年もの長きにわたり習慣としていたことがあるということに興味をもち、本書を手に取りました。
この記事でも紹介しました。
『伝える準備』はこんな人におすすめ
『伝える準備』はこんな人におすすめ
✔ 就活・転職をしている人
✔ 話すことが苦手な人
✔ 丁寧に毎日を生きたい人
著者
藤井貴彦さん。アナウンサー。
1994年日本テレビに入社。
スポーツ中継からバラエティー番組、報道番組まで幅広く活躍。
本書が初の著書である。
おすすめポイント
自分の考えを言語化することで本当に望むことがわかる
著者は就活の際に「自分を知る」ためにしたこと、それが「徹底的に書くこと」だったそうです。
理由は自分の好きなこと・嫌いなことを徹底的に書くことで自分がやりたいことがわかると考えたからです。
もうその時点で就活半分は成功していますよね。
業界や職種で探すのではなく、「好きなこと」がわかっているわけですから面接のときもぶれずに志望動機を話せるわけです。
言葉は自分の思いを他者に伝えるためにあるもの。
もちろんそれは言葉の大きな目的です。
それだけでなく、言葉は自分の内側を整理し具現化するためにも使えるということを一冊を通じて本書は伝えています。
話術ではなくどんな気持ちを載せたいのかにフォーカスする
著者はアナウンサーなので話は上手だし、話すことのプロです。
私たちがテレビなどで目にするようになるまでには話し方、抑揚、滑舌などたくさんのトレーニングを積んでいます。
しかし話が上手い人というのは「きれいな話し方をする人」のことではないと思います。
著者は本書の中で自分の言葉が「誰かを傷つけていないか確認する」と記しています。
また災害現場などでもすぐにカメラを回すのではなく、インタビューの相手方のお話だけをうかがい、気持ちを理解したうえで取材を始めるそうです。
そうすることで「本当の言葉」が聞けるとのこと。
話が上手い人とは決して自分の聞いてほしいことを一方的に話す人ではありません。
相手との関係性を重んじ、その言葉を放つことで受け手側がどのように感じるかを配慮出来る人ではないかと改めて感じました。
アナログな日記の効能
著者が新卒入社してから、30年近くも続けている習慣。
それが『日記』です。
実は私自身も日記は書いてはやめ、書いてはやめ…で何度も何度もチャレンジしましたが続いたことがありませんでした。
そのため日記を書くことはもう諦めていました。
きっと私のような人はたくさんいると思います。
また今どき手書きの日記でなくても、スマホの写真でもSNSのたわいのないやりとりでも記録を残す方法はいくらでもあります。
あえて日記を書くことにこだわる理由。
日記を書く、そのときにあった出来事や感情を残しておく作業は、その日一日を振り返ることが出来ます。
書くときはその日一日だけですが、あとから読み返すと1年でも10年でも前の感情をよみがえらせることが出来ます。
人に見せない前提の日記という形式なら本当に感じた感情を素直に記録することが可能になるのです。
自分の感情を素直に書き残す。
それはその感情を味わったことを一旦受け止めることになるのではないでしょうか。
受け止めて、反芻して、言語化する。
その過程は自分自身を大事にすることにつながるのではないかと私は思いました。
まとめ
『伝える準備』はこんな人におすすめ
✔ 就活・転職をしている人
✔ 話すことが苦手な人
✔ 丁寧に毎日を生きたい人
いかがでしたでしょうか。
本書は一文一文も短め、また全体でも201ページと本当に読みやすく構成されています。
現役局アナが伝える『伝える準備』、ぜひお手に取ってみてくださいね。
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